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藤野仁三の論文・論説(和文)
これまで雑誌や新聞に投稿してきた論説・論文を紹介(一部論説・文献についてはPDFを閲覧可)
米国判例紹介:最高裁、方法特許にも消尽論を適用
掲載紙: LES JAPAN NEWS Vol.49, No.2
掲載日: 2008年8月
被上告人LG Electronics, Inc. (LGE)は、コンピュータシステムに関する米国特許を多数所有している。LGEは、これらの特許ポートフォリオに関するクロスライセンス契約をIntel Corp.と交わした。 また、両者は別契約(マスター契約)で、第三者がIntel製品と他社製のコンポーネントを組み合わせる場合にはLGE特許ライセンスは適用されない旨合意した。さらに、別契約の違反はライセンス契約の違反事由とならないこと、Intelの顧客に対して、他社製品との組合せ品にはライセンスが適用されない旨を明記した注意書をIntelが送付することが規定されていた。 上告人Quantaは、Intel製品(マイクロプロセッサやチップセット)をIntelから購入し、他社製のコンポーネントと組み合わせてコンピュータを完成させ販売した。Quantaは、Intel製品の購入時に、Intelからの注意書を受け取っていた。 LGEは、Quantaの行為がLGE特許に侵害するとしてカルフォルニア北部地区地裁に提訴した。裁判ではQuantaから提起された特許消尽が争点となった。この点についてLGEは、Intel製品はLGEのシステム特許の直接の対象ではないので、製品販売による特許消尽は生じないと主張した。 地裁はこの主張を認めなかった。係争特許はIntelのライセンス製品がQuantaに販売された時点で消尽し、QuantaによるLGE特許侵害は発生しないと判決した。しかし地裁は、方法特許については消尽論が適用されないとした。 控訴を受けたCAFCは、方法特許に消尽論を適用しないとした地裁判決は支持したものの、そもそも本件の場合、別契約で組合せ禁止の合意があり、Intel製品のQuantaへの販売は条件付であるから、特許消尽は生じないと結論づけた。 上告請求がなされ、最高裁は上告を受理した。

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